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翌日。AM6:00。
いつものようにダイニングへ向かう。
「おはよ」
「おはよ!」
真理は昨日の不機嫌が嘘のように笑っている。元気そうだ。ケーキが時間差で効いたのか。
「今日も朝ごはん作ってあげたよ!」
満面の笑み。なんだかおかしい。変な感じがしつつも僕は席につこうとして、その目を見開いた。
真理の席にはいつものスクランブルエッグ。そして、僕の席にはいつもじゃないスクランブルエッグ。
「あれ……目玉焼きは?」
真理はじとりとこちらを見る。
「文句言わないで」
「でも昨日は目玉焼きだったじゃん。今までずっと、結婚してからそうだったでしょ」
「スクランブルエッグじゃだめなの?」
眉間に皺を寄せている。
「……めんどくさくなっちゃったの! 二回作るのが! 我慢してよ! もう限界だよ! いつも愚痴ばっか言われてさ! そんな奴にわざわざ分けて作りたいと思う!?」
がーっと不満を言われて、僕は結婚三年目にしてやっと一番そばにいる人の悩みを知った。
「ご、ごめん……」
「……」
真理は何も言わない。代わりにいただきますも言わずに、朝食を荒々しく食べている。
僕は気まずい雰囲気で朝食を食べ終えた。
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