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さらに翌日の朝。真理が朝食を作り始めるAM5:50。
僕は珍しくキッチンにいた。
「ねぇ」
「……何」
僕の呼びかけに真理はこちらを見ようともせず、食パンにバターを塗ってトースターに突っ込んでいる。
「たまご、今日やるよ」
「……」
「やっぱ、今日じゃなくて、『今日から』やるよ」
今日から、という言葉に真理は初めてこちらを向いた。
「……本当に言ってるんでしょうね?」
「本当だよ! 僕が嘘をついたことなんて」
「あんまないけど、なくはない」
「……そう、だよね」
僕の嘘は大抵真理に見透かされている。嘘をついてもすぐバレる。怖いところだ。
ジー、とトースターが音を立てている。
「でも、僕本気だよ。自分の分は自分でやるべきだよね。今までごめん」
真理に頭を下げる。しばらくそのままでいると、「仕方ないな」と小さな呟きが聞こえた。
「顔を上げなさい」
「はい……」
恐る恐るその通りにすると、そこには仁王立ちでこちらを見つめる真理がいた。
「あなたは今日から……」
一番大好きな人は僕をビシッと指差す。
「目玉焼き係です!」
僕がぽかんとしていると、チィンとトースターが鳴る。
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