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僕は目玉焼きを食べる。真理はスクランブルエッグを食べる。
これがいつもの朝食。
僕は会社員で、真理は主婦。朝食を作るのは真理の仕事。
黄身と白身を混ぜるなんてありえない。バラバラなのがいいんじゃないか。
そう伝えてから、真理はずっと目玉焼きを作ってくれている。
当たり前のことだと思っていた。
ダイニングから出るところで、いつものように言う。
「いってきます」
「……いってらっしゃい」
真理はなんだか不満げな顔をしている。
「……どうしたの?」
「いや、別に?」
すぐ皿洗いに戻ってしまった。
何か気に障ることを言ってしまったかな。いや、その覚えはない。きっと気のせいだ。ケーキでも買っておけば、すぐ機嫌を直すだろう。
僕はあまり考えずに会社へ向かった。
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