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4.殻を破れ!
警察署からの帰り道。
僕はとても得した気分になっていた。
こんなフィクションみたいな経験、普通はなかなかできない。
危ない目にあうところだったが、好奇心に嘘をつかず飛び込んでみたことが結果的には良かった。
──あの卵が本当に才能を得られるものだったらよかったのに。
そう思わなくもないが、ネタを一つ入手できただけでも良しとしよう。
時間を確認するためにスマホを見たら、アマナのYouTube動画が更新されていた。
動画の中でアマナは、
「実は、一年前の私は太っていて、それなのにアイドルを目指していたから、詐欺に掛かることが何度もありました。だから、それを見返したくて死ぬ気でダイエットをしたんです」
と告白していた。
その動画を観たら、なんだか余計に楽しくなってきた。
家に帰ったら、さっそく今日のことについて書こう。
楽しくて仕方がなくて、スキップしながら家に走る。
才能があるか無いかなんて、結果が出るまで分からない。
自分が信じた道を進むしかない。その覚悟を決めた。
近道は無い。
僕はまだ、小説家の卵だ。
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