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太陽の光のような輝く金色の髪に、華やかに整った目鼻立ち。宝石のごとく輝くサファイアブルーの瞳、長身でしっかりと鍛えられた男らしい体つきは、遠目で見てもうっとりとするくらい美しかった。
美しい、と言う言葉は彼のためにあるのではないかとルキオラは思う。
彼の前に立つと、いつも自分がひどく汚れていて恥ずかしい気持ちになってしまう。
早く近くで見たいと中央通路を足早に進んでいくと、ファルコンの隣に先に来ていたのか、ヘルトの姿を見つけたルキオラは、苦い気持ちになって胸がチクっと痛んだ。
ルキオラが近づいていくと、それに気がついたファルコンが笑顔になって手を上げた。
「ルキオラ! やっと来たのか! 待ちくたびれたぞ」
「ファルコン殿下、ご無沙汰しております」
壇上から軽い身のこなしで華麗に降りたファルコンは、ルキオラに近づくと親しげに手を握ってきた。
「元気そうだな。どうしているのか心配だったんだぞ。手紙もくれないなんてひどいじゃないか」
「ご公務の邪魔をしてしまっては申し訳ないので……、今日、お越しになると聞いて楽しみにしておりました」
「それは嬉しい。長く続いた外遊も終わった。しばらくゆっくりすつもりだから、ここへは頻繁に顔を出すよ。また以前のように懇意にして欲しい」
「ええ、もちろん。光栄です」
ゴホンっと咳払いの音が聞こえて、神殿長が難しい顔をしていた。
それを見て、いたずらっぽく片目を瞑ったファルコンは、ルキオラの手を引いて壇上に上がる階段を上った。
ファルコンはルキオラより二つ上で、幼い頃から神殿に出入りしていた。
皇太子として礼拝に訪れていたのもあるが、いつも途中で抜け出して、ヘルトやルキオラの元に遊びに来た。
ファルコンがいる時は、ヘルトもいじわるをしなかったので、その時だけは三人で遊んで楽しい時間を過ごせた。
その関係は成長しても変わらず、ファルコンは公務や授業の隙を見つけてはルキオラに会いに来てくれた。
ファルコンだけは、ルキオラにひどいことをしたり言ったりすることはなかった。
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