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41 祝福の子
「ようやく死んだか。もはやソレは皇帝ではなかった。帝国は長い間、邪神に支配されていたのだ。皆の者、これからは私が皇帝だ。強い皇帝となって大陸に名を轟かせようぞ」
ずっと放心状態で固まっていたように見えたが、皇帝が消えたことで、息を吹き返したように前に出てきたのはファルコンだった。
ルキオラは唖然としてしまった。
父親である皇帝が千年も前から生きてきた亡霊で、邪神に支配されていたことを知ったのはショックだっただろう。
皇帝亡き後、自分が引っ張っていくと宣言するのは、皇太子としての責任からだと思うこともできる。
しかし、恋人であるヘルトが目の前で死んだのだ。
それなのに亡骸に触れることもなく、全て自分の手柄のようにして立っている姿に怒りが湧いてしまった。
「ファル……」
「ファルコン様」
ルキオラが思わず口を開いた時、横から帝国の貴族達が近づいてきた。
ファルコンが彼らに向かって満面の笑みを浮かべると、貴族達は丁寧にお辞儀をした。
「新皇帝に御即位、おめでとうございます」
「ああ、お前達のやったことは大罪ではあるが、邪神に支配された皇帝に気がつき、国を思って反乱を起こしたということであれば、不問としよう。その代わり、私の下ではしっかりと忠義を尽くして……」
「ええ、神殿長と前皇帝の大罪をしっかりと、あなたにも償っていただきましょう」
「……なに?」
国の有力な貴族達が集まって、ファルコンの前に列になって壁のように立ちはだかっていた。
「我々が入手した、神殿長とファルコン殿下の繋がりを示す資料です。貴族税は、本来国防に使われるはずですが、かなりの額がお二人の懐に流れていますね。地方からの不満をつぶすために金銭を配った記録があります。殿下に至っては花街でばら撒いていますね。遊学先でも踊り子や歌手に相当な額を貢いでいらっしゃった。これをどう説明されるおつもりでしょうか」
「なっ、なんだ、お前達は……。そんな資料は偽物だ! いい加減にしろ! 全員牢に入れるぞ!」
「何より、今まで暗黒期と称して、国民を騙し、故意に災害を起こして、命を奪い苦しめてきたことの責任、どうされますか?」
「それは……私がやったことでは……!! あの神殿長を処刑する! それでいいだろう!」
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