41 祝福の子

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 ファルコンに残されたのが、茨の道であることは明らかだった。  ルキオラは胸に手を当てた。  化け物となった皇帝が朽ち果てた時、ルキオラの胸に一つの光が入ってきた。  その温かさを感じた時、それが何だかはすぐに分かった。  女神はそれをどうするか、ルキオラに選択を委ねたらしい。  みんながファルコンの演説に注目している時、ルキオラはその光をそっと元の体に戻していた。 「こんなことになったけど、それでも気持ちは変わらないの? ヘルト」  ルキオラの呼びかけに誰もが一瞬息を呑んで、地面に転がっているヘルトに目を向けた。  すでに事切れていたと思われたヘルトだったが、皇帝が死に、体内に吸収された魂が戻ったことにより、甦ることができた。  ルキオラの問いかけに、動かなかったヘルトは、パッと目を開けてむくりと起き上がった。  それを見たファルコンが、うわぁぁと悲鳴を上げた。 「うん、僕はね、ファルとずっと一緒。一緒に死のうよ。骨になっても、地獄の果てまでずっと一緒」 「ひぃぃぃ!! やめてくれ! 近寄るなっ! 化け物!!」  ファルコンは恐怖に顔を歪めた、剣を抜いてヘルトに向けて振り回した。  すかさず皇宮騎士達が両側からファルコンをおさえて、剣は取り上げられてしまった。 「助けてくれーーー! お願いだ! ルキオラ!!」  ルキオラは目をつぶって首を振った。  ようやく、長い間、囚われていた心が解放されたような気がした。 「行くぞ。彼らも見逃してくれるのは今だけだ。ここを出たら全速力で逃げるからな」 「ええ、もちろん。どこまでもお供します」  いまだファルコンの泣き叫ぶ声が響き渡る中、ルキオラはオルキヌスに手を引かれて、崩れ落ちそうな旧礼拝堂から脱出した。 「あの、逃げる前に、ウルガは大丈夫なのですか? 助けに行かないと」  階段を駆け下りながら、今すぐにでも神殿を出ようとするオルキヌスに声をかけた。  すると後ろから走って追いついてきたゴングルが、大丈夫ですと言って笑った。 「ここら辺一帯、宮殿からの援護で後から来た兵士を掃除したのはウルガですよ。だから、俺達も爆発を聞いて早く駆けつけることができたんです」 「へ?」 「ほら、あそこ」  ゴングルが眩しい笑顔を見せて手を振った。  その視線の先を見たルキオラは、感激して声を上げた。
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