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「すみません、ルキオラ様。おっしゃる通りです。ルーファス様のいる場で、ちゃんと話し合ってみます」
「いや、私の方こそ、事情もよく分かっていないのに、偉そうに言ってしまってごめん」
「ルキオラ様、ありがとうございます。本当にお優しい方ですね。さぁ、これをどうぞ」
「あ、う……うん」
ウルガがスプーンでスープをすくってくれたので、ルキオラはついいつものクセでそれを口に付けた。
ごくりと飲み込んでから、周りの注目を浴びていることに気がついて、しまったと真っ赤になった。
「ウルガ……お前……」
「フッ……何でしょうか。オルキヌス様」
バチっとまた火花が散ったのが見えてしまって、ルキオラは思わずむせてしまった。
「もう従者は終わりだろう。いつまで甲斐甲斐しく世話をしているんだ!」
「ルキオラ様はまだまだ俗世の習慣には慣れておりません! 少しずつ、溶け込んでいくには、慣れている私がお世話をするのが一番適していると思いますが?」
「だっ……、だが……」
「お二人が親密な関係であることは重々承知しております。しかし、私にとってルキオラ様は可愛いペッ……、我が子のような存在なのです!」
ウルガのとんでもない告白に、ついにルキオラは飲み込めなかったスープを噴き出してしまった。
「我が子ってよ。お前、子供はおろか結婚もしていないじゃねーか」
ゴングルは冷静なツッコミを入れたが、ウルガは鼻息を荒くした様子で、勢いがついてしまった。
「そんなことは関係ありません。かつて貧民街で生き倒れていた私を拾ってくれたルーファス様の優しさ、それを誰かに伝えたいと思って生きてきました。ルキオラ様のお世話をすることが、私にとって喜びだと感じたのです! 無償の愛! それは我が子のように思うことと同じです!」
「あ、ありがとう……そこまで、思っていてくれたなんて……」
「ルキオラ様、さぁ残りのスープもどうぞ。お風邪の時は、いつも飲んでいただいていましたよね?」
「いや、まぁそうだけど、今、元気だし、みんなの前で恥ずかし……」
「恥ずかしがる必要などありません。ずっと食事が取れなかったと聞きました。干し肉もありますので、よく噛んでお食べください」
「えっ、ちょっ……んんっ」
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