エピローグ前編  改めまして

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「う……嘘、ほ、本当に……?」 「ルキオラ」  三人が手を振って、元気そうにこちらに向かって歩いてくる姿を見たルキオラは、息を呑んだあと、急いで走って向かった。 「みなさん、ここまで大変だったでしょう。来ていただき、ありがとうございます」  ルキオラが近づいて行くと、三人は目を潤ませながら、ルキオラの手を握ってくれた。 「よかった。元気そうだ。皇帝の件で大変だったみたいだな」 「ペルシア子爵……あ、あの……私は……ヘルトではないのですが、ヘルトのフリを……」 「分かっていたわ」  言葉を詰まらせながら、ルキオラが必死に説明しようとすると、子爵夫人が優しく微笑んでルキオラの頭を撫でてくれた。 「貴方がヘルトではないことは分かっていたのよ。ただ指摘して神殿との関係が悪くなると、会わせてはもらえなくなるのと、貴方の立場が悪くなってしまうと考えたら、二人で黙っておこうと考えたの」 「そう、だったのですね……。お二人は……、私のことを分かっていてくださったのですね」 「ええ、一目ですぐに分かったわ。だって、目元はジョーに、口元は私にそっくりだもの。こんなに優しい子に育ってくれて、とても嬉しいわ」 「お……お父様、お母様」 「ルキオラ、私たちの愛しい子」  二人はルキオラを包み込むように抱きしめてくれた。両親の温かさを感じて、堪えきれなくなって、ルキオラはポロポロと涙をこぼした。  側で優しい目をして見ていてくれたアーバン伯爵も、励ますようにルキオラの肩をぽんぽんと叩いた。 「リッテンタインに行くそうだな。ずっと閉じ込められていたんだ。広い世界を見るといい。色々な人に出会って、色々な経験するといい。一つ一つの出会いが君の財産になる」 「あ、あの、これから帝国は混乱すると思います。みなさんも一緒に……」  ルキオラは真剣な目で問いかけたが、三人は微笑んだまま首を振った。 「帝都に残って、マクベス公爵とともに、厳しい目で今後を見定めないといけない。それに、我々は旅に出るには少しばかり遅すぎた。大丈夫だよ、帝国の空の下で、ルキオラの幸せを祈っている」 「ここへの移動はオルキヌス様が手配してくれたのよ。別れを言えなかったら、ルキオラがきっと寂しがるだろうからって。いい人に巡り会えたわね」 「うっ、うう……りがと……ございます」
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