エピローグ前編  改めまして

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「ん?」 「なんて長い道のりなんだ」 「え? 泣いてる!?」  おでこが湿った感覚がしたので、ルキオラが顔を上げると、オルキヌスが苦しそうな顔をしていた。 「あー早く戻りたいー我慢の限界だーー」 「急に里恋しくなったのですか? 話聞きますから、泣き止んでください」 「うぉールキオラーー」 「……何やってるんですか、親分。もうすぐそこですから、早く行きますよ」  ルキオラがハンカチでせっせとオルキヌスの顔を拭いていたら、足が止まってしまったので、後方にいたジェントがすぐ横まで来ていた。 「え、すぐって? もう国境なの?」 「ええ、もう見えていますよ。あの山の向こうからが、リッテンタインの領土です」  ルキオラはジェントが指差した方向を見た。  連なった山々の向こうに、見たこともない世界が広がっている。  リッテンタイン、オルキヌスの故郷であり、お兄さんのいる場所。 「行こう」  ルキオラは新たな世界の始まりに、心を躍らせながら二人に向かって笑った。  オルキヌスとジェントは、ルキオラと同じように笑って頷いた。  新たな出会いはきっと素晴らしいものになる。  山々に向かって吹く風に、その期待を乗せた。  ⬜︎⬜︎⬜︎
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