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穴も大きくなって僕の腹の虫も「お腹が空いた。」と歌い始めた。けれどブラジルに届きそうな気配はしない。
「ジュリアちゃん?」
地面に向かって呼びかけるという無意味なことをする。当然何も帰ってこない。もっと掘ろう!
「待っててね、ジュリアちゃん!」
僕は気合を入れ直す。その時、上から可愛らしい、僕が世界で一番聞きたかった声が降ってきた。
「こた君何してるの?」
ジュリアだった。
「え、ここブラジル?え、じゃあ僕の家どこ?!」
「日本、ここ。」
僕は急に恥ずかしくなった。ジュリアちゃんは日本にいたのに。なんて無駄なことをしてしまったんだろう。
「何してたの?」
こたえられるわけがない。
「ちょっと穴が掘りたくなって!」
「そうなんだ。」
これは僕の馬鹿な記憶。ジュリアに今でもイジられる、馬鹿みたいで幸せな記憶だ。
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