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ドライヤーをしてリビングへ戻ると、先程までビールを飲んでいた大星がクッションソファに倒れるようにして寝ていた。
その反対側に胡座をかいてスマホを弄っている樹くんがいる。
「…大星、寝たの?」
私の声に反応した樹くんがこちらを向いて「割とすぐ寝た」と無機質な声を出した。
「ここで寝ていい?」
その表情からしてもどちらかといえば樹くんの方が眠そうだったのに。もしかしたら私がお風呂を上がるまで待っていたのかもしれない。
ここで寝ていいのか確認するために。
そう思うとゆっくりと寛いでいた自分に少しだけ苛立った。
「っごめんね、眠かったよね…」
「いや、大丈夫」
目を擦りながら大丈夫という樹くんは、全然大丈夫じゃなさそうだ。
先程にも増して目がトロンとしている。
「ごめん、すぐ掛け布団持ってくるね」
そう言って急いで寝室へと行って洗っておいたタオルケットを樹くんへ渡す。
もう一つのタオルケットを大星の体へそっと掛けた。
「これ、わざわざ買ったとか?」
タオルケットを受け取った樹くんが、それを見つめながらそう聞いてくるので一瞬体がビクッとなる。
「…ううん、もともと持ってたの。でもちゃんと洗ったから、」
ここにきてやっぱり新しいのを買うべきだったと後悔した。
そりゃそうだよね、洗ったといっても何度か私も使ってるんだし。自分が気にならないとしても、そういうのを気にする人だっているわけだ。
「…明日、新しいの買っておくね。敷布団もないから買って…」
「あー、いや、そういうんじゃなくて」
「……」
「新しく買ってんなら申し訳ないなと思って。どうせすぐ使わなくなるし」
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