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…なるほど。そういうことか。
気にしていないならそれはそれで良かったんだけど。
「でも床だと体痛くなっちゃうよ?」
いくらカーペットを敷いてるといえ、フローリングの上で寝るのは絶対につらい。
疲れを取るどころか次の日体が痛くなって、余計に疲れてしまう気がする。
「樹くんベット使っていいよ?いつも私が寝てるから、嫌じゃなければなんだけど…」
突然始まったこの共同生活が、苦じゃない、と言えば嘘になる。
だけど次のアパートが見つかるまで、せめて私の家にいる間は、ゆっくりと体を休めてほしい。
そう思って口にした言葉に樹くんの眉が少しだけピクっと動いた。
そして突然立ち上がり私の目の前までくると、「あのさ、」と口を開く。
「まじで気使わなくていいから」
「……え?」
「いきなり押しかけたのは俺の方だし、和泉が遠慮することないから」
淡々と告げられた言葉は、決して冷たい言い方ではなかった。
「ここは和泉の家だろ?」
少しだけ眉を下げて私を見る樹くんは「そんな頑張んなくていいから」と言って私の頭へと手を伸ばす。
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