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「あ、起きた」
部屋から出てきた私に「寝すぎだろ」と鼻で笑う大星が、この着信の犯人だ。
「なんだよ、そんな怒んなって」
「……別に怒ってるわけじゃ、」
「顔、やばいぞ?」
「……」
休みの日にこんなに早く起された挙句、寝起きの顔をやばいと言われれば、…それは普通に怒る。
……失礼すぎる。
一言文句でも言わないと気が済まないけど、チラッと視線をずらせば大星の隣に携帯を弄っている樹くんが目に入り、グッと言葉を飲み込んだ。
「…電話、なんだったの?」
「いや、普通に腹減った」
「…わざわざ電話しなくて良かったのに」
「だろ?な?言ったろ?」
「……」
そう言っていきなり樹くんに話を振った大星は「こいつが電話しろって言ったの」と面倒くさそうな声を出す。
「…勝手に部屋入られんの、普通は嫌だろ」
「……え?」
「普通はっていうか和泉は仮にも女だし」
……仮にも、ね。
なるほど…。私に気を遣って電話で起こしてくれたのか…。
「…なんか、樹くんっぽい」
「…ん?」
「っあ、いや樹くんの事そんなに知らないんだけど…。大星だったらそんな事気にせず部屋に入ってくるだろうなって」
「当たり前だろ、いちいちそんなん気にするかよ」
「ほらね?だから樹くんも全然気にしなくていいから」
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