ep.00

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どうして私に言ってくるのか…。 それは多分さっき大星が言ってた通り、部屋が無駄に余っているせいだ。 大学入学と同時に一人暮らしを始めた私は、色んな物件を探し回って3DKのアパートに決めた。 10年と築年数は経っているものの、この広さで新築の1DKと変わらない家賃だったのでなんだか得した気分になって今のアパートに決めたわけ。…だけどまぁ確かに無駄に広く、案の定、部屋が余っている状況だ。 「ていうか、どうして樹くんも?大星、仲良かった…?」 まぁ100歩譲って、目の前で両手を合わせている大星はまだ分かる。 この男とは高校の時からの友達で、今でもバイトが休みの日には2人で飲みに行ったりする関係だし。 私にとって唯一の男友達だと言える。 「いやそれが最近うちのバイト先に樹が入ってきてさ、初日からすげー仲良くなって。休みの日に俺の家で遊ぼうぜって話してたら、なんと同じアパートに住んでたってわけ。すごくね?」 目をキラキラさせて樹くんとの馴れ初めを話す大星に、思わずはぁ…、とため息が溢れる。 「…いや、すごいっていうか。私、全く関わりないよ?樹くんも嫌なんじゃない?」 そう、まず第一に私は彼と会話すらした事がない。 彼が薗田(そのだ)樹だという名前は知っていても、彼との接点はほとんどない。 「それに樹くん彼女いるんじゃ…」 噂ではものすごく可愛い彼女がいるとかなんとか。
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