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ヨシュアが気づいたのは、キングの合図から実に3時間後の事であった。辻褄の合わない話を繰り返す7に椅子をぶん投げる。ヨシュアは7を殺してやりたかった。しかし、貴重な戦力である彼を今はまだ殺せない。
腹心二人があまりにも頼りないので、州警察に残ったトロイが珍しく同席していた。
「ジョージ、コイツの頭を元に戻せないのか?」
ジョージの爪先から血の針が伸びて、7の眉間を貫いた。幻覚の発生源と思われる視床下部を中心に探るが、結果は芳しくなかった。
「偶像の力は掛けていくだけだ。解く力を持ってない」
「クソッ! 偶像、どういう事か説明しろ!」
しかし、偶像は沈黙を貫いた。ジョージの意識は明瞭そのもので、困った表情を浮かべながら7を見つめている。元々そういう死神なのだ。偶像の狡猾さを最もよく知るヨシュアが怒号を上げた。
「偶像! 貴様、いつかこうなる事を予見していただろ!」
偶像の代わりに笑い声を上げたのはジョージだった。「セイカイ!」そう叫びながら、手を叩いて笑い転げている。異様な光景を目にして硬直する州警察よそに、涙ぐんだ7がまた同じ話を始めた。
「確かに特別顧客がカインを別の場所に移せと仰ったのです」
「スラム街の売春宿でか? 私がそんな場所に居る訳がないだろう! 居たのはキングだ。お前を謀ったんだよ!」
「キングとは……誰です?」
「もういい! それで、本当にあの場所へ移したのか?」
「ええ、エデンの管轄だった場所です。オレンジの木がある、大火事の跡地でした」
「どうだ、ジョージ。君だけで奪還出来そうか?」
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