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革靴の先が7の顎を撫でまわす。その凍えきった声色に、彼の脳は完全にヨシュアと認識した。触手が更に奥深くへと突き刺さる。
「ああ……特別顧客! もうあんな事は止めてください。私には貴方しかいないんです」
「私に忠誠を誓うなら行動で証明を。褒美はその後だ」
着替えもそこそこにスラム街を飛び出していった7。彼はマンホールの蓋を開けると地下道を抜け、研究室直通のエレベーターに向かって走って行った。
「7を例の場所へ誘導する。ノースの部下達は僕の援護を。レイラ達は、オリヴァーとアンナの救出を頼む」
切り取られたフィルムと化した一帯でキングが告げる。既に入国していたメンバーが、プルトの放つ周波数を通して作戦の全貌を聞いていた。
死神の姿に戻ったキングが指を鳴らした時、スラム街の記憶から少年が完全に姿を消した。
「因縁の場所か。今すぐ7を殺してやりたいけど、仕方ないわね」
「ああ。ヨシュアは必ずその手で取り返しに来る。兄は誰の事も信用していない。偽のカインだけは掴まされたくないだろうね」
「確かに。キンドリー邸が手薄になるのは、その間だけね。上手くやれるかしら」
レイラの懸念もまた事実だった。ヨシュアであれば直ぐにでも偶像の力が発揮された事に気づくだろう。
「ジョージ……というより偶像なんだろうけど。彼女は、僕がステファンのホログラムを上書きした事に気づいてない。こちらで操っている州警察についても同様だ」
「遺伝子が同じであればエラーと認識しない、か。いかにも偶像って感じね。州警察の犬は引き続きこちらで借りるわ。中が丸見え」
「それでは始めよう」
キングによる作戦開始の号令に、それぞれが持ち場所へ向かって姿を消していった。
※キング
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