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その刹那、地響きと共にキングの身体が、巨大な岩石のように膨れ上がった。
「ウガァアアア……ギィヤアアアア!!!」
ビルの屋上から唸る声に、レイラが青ざめた。咆哮と同時に、視覚が遮断されてしまった。避難していたアンナが、走ってゆく。
「キング! 兄さん!」
下にいるレイラ達にも、突如として顕れた黒い物体は視認出来た。かなりの大きさだ。現場近くにいた民衆からも、指差す者が続出していた。
(視覚が遮断されたわ! 何が起きているの!)
屋上は、レイラの問いかけに答える暇すらないほどに緊迫していた。大きく膨れ上がった漆黒の身体から、偶像が巨大な顔を出している。
瘤だらけの仕込み刀を構えたジョージが、居合いの構えを取った。
プルトの掌から放たれたエネルギーを刀に載せて、悍ましい顔を一刀に切り捨てる。転がり落ちた首は砂と化したが、切った先から血をまき散らし、ジョージの身体を焼いた。
……!
痛みを感じている余裕もない。飛び上がったプルトとジョージは、再び刀にエネルギーを載せて、今度は縦から真っ二つに巨大化した異形を切り裂いた。
しかし切られた身体は、液体化すると直ぐにくっついてしまった。ダメージを受けているようには、到底思えない。
最早、生き物と呼んで良いかも分からない黒い物体から、キングとヨシュアの声が聞こえてくる。
「「首を刎ねろ! ジョージ!」」
「ふざけるな! そんな事、出来る訳ないだろう!」
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