最終章:キングの誕生 正義-Ⅲ

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 その(せつ)()、地響きと共にキングの身体が、巨大な岩石のように膨れ上がった。 3c0113c4-aced-48c1-b842-66394b9c8cfe 「ウガァアアア……ギィヤアアアア!!!」  ビルの屋上から(うな)る声に、レイラが青ざめた。(ほう)(こう)と同時に、視覚が(しや)(だん)されてしまった。避難していたアンナが、走ってゆく。 「キング! 兄さん!」  下にいるレイラ達にも、突如として(あらわ)れた黒い物体は視認出来た。かなりの大きさだ。現場近くにいた民衆からも、指差す者が続出していた。 (視覚が(しや)(だん)されたわ! 何が起きているの!)  屋上は、レイラの問いかけに答える(いとま)すらないほどに緊迫していた。大きく膨れ上がった漆黒の身体から、偶像が巨大な顔を出している。  (こぶ)だらけの仕込み刀を構えたジョージが、居合いの構えを取った。  プルトの(てのひら)から放たれたエネルギーを刀に載せて、(おぞ)ましい顔を(いつ)(とう)に切り捨てる。転がり落ちた首は砂と化したが、切った先から血をまき散らし、ジョージの身体を焼いた。  ……!  痛みを感じている余裕もない。飛び上がったプルトとジョージは、再び刀にエネルギーを載せて、今度は縦から真っ二つに巨大化した異形を切り裂いた。  しかし切られた身体は、液体化すると直ぐにくっついてしまった。ダメージを受けているようには、到底思えない。  最早、生き物と呼んで良いかも分からない黒い物体から、キングとヨシュアの声が聞こえてくる。 「「首を()ねろ! ジョージ!」」 「ふざけるな! そんな事、出来る訳ないだろう!」
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