おもいでたまご

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『おっおお、おれと……っ! で、デートしろ! じゃなくて、……してください!』  まだ幼馴染の身長も抜かせていないくらい子供だった幸助が、なけなしの勇気を絞り出して告げた言葉は、おおよそスマートとは言えないものだった。  噛みまくりだし、照れくささから上から目線になったし、焦りで声の大きさもコントロール出来なかったし。  当時からほとんど泣かなかった幸助が、泣きたくなるくらいにはかっこ悪い誘いとなってしまった。  それでも、幼馴染は嬉しそうに、そして何故か悲しそうに涙しながら、笑った。 『うん。喜んで』  幸助はその一言で舞い上がってしまって、幼馴染が悲しそうな表情をしたことをすっかり意識の外に追いやっていつもの町へと繰り出した。  その時間は、普段ふたりで遊ぶ時と全く変わりはしなかったものの、普段以上に甘やかでくすぐったくて、優しいひと時であった。  翌日に起こることなど、全く知らないまま。
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