で、君たちは……

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「じゃ特に苦労はしてないんだな」 「そうとも言う」 「なら教えてくれよ。何のたまごだったんだい?」 「……ヒトだよ」 「え?」 「ヒトだよヒト」 「ヒトって……ニンゲンって事かい?」 「そうだよ」 「いやいやいやいや。真剣に聞いて損した気分だよ。そんなワケないだろう」 「何でそんなワケないんだい」 「だってニンゲンなんてそんな簡単に落ちて……え。本当なのかい?」 「本当だよ。しかもさ、オトナだ」 「ええ⁉」 「たまごの中でオトナに成長したらしい」 「だからか!だからシャツが咲いて散るほどだったんだな⁉」 「だろうね」 「へええええ……いやいやそれが本当なら凄い話だよ」 「だから言ったじゃないか。自慢話になってしまうかもって」 「で……でも僕はあまりニンゲンって好きじゃないんだよな」 「そうなのかい?」 「だって変だろう。何よりもバランスが悪いよ」 「そうかなあ」 「そうだろう。ほらあの先端の部分。何て言ったっけ。穴があって……」 「先端……?ああ“カオ”か」 「そうそうカオ。な?バランス悪いだろう?」 「そう言われてみればそうかもだけど」 「しかも聞くところによるとニンゲンって“タツ”らしいじゃないか」 「ああ。タってるとも」 「もうその時点で考えられないよ。それに何の意味があるのか」 「でも眺めてたら意外と慣れて来るもんだよ」 「もっと言うならニンゲンって“シャベル”らしいじゃないか!!信じられるかい⁉シャベルって!!」 「君、意外とニンゲンに詳しいな。実は大好きなんじゃないのか」 「いやいや絶対ない!それはない!羨ましいなんて本当にない!」 「なら良かった。実はそのニンゲンをΦΨったなんて言ったらどう―――」 「ΦΨった!!⁇」 「う……うん」 「本当に⁉本当にΦΨったのか!!」 「うん」 「……まさか一気に……」 「そんなワケないじゃないか。それこそただの自慢になってしまう」 「え……じゃあ……」 「あるとも。君の分も」 「本当かい!!⁇僕の分も!!⁇」 「僕がΦΨったのは“ウデ”と呼ばれる部分だ。その後ちゃんと綺麗に保存してあるから新鮮なままだよ。当然まだ生きてるしね」 「ΦΨった事ないんだよ!ニンゲンとやらを!」 「だろうね。だから君の分も残しておいたんだよ」 「さすがだよ!!感謝するよ!!これからでも良いかい⁉」 「もちろん。これでやっと全部ΦΨれるよ」             ―で、君たちは……―
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