雨宿りにはプリンが似合う

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雨宿りにはプリンが似合う

見知らぬ喫茶店で雨宿り。 ほんのり明るい照明が眠気を誘う。 視界の隅で男性客が新聞を読んでいる。 急な雷雨。 天気は最寄り駅までもたなかった。 コンビニで買ったカップアイスが溶けてしまいそう。 カウンターの奥から店主らしき女性が顔を出す。 水の入ったコップを1つ、テーブルに置きながら、女性は口を開く。 「夕立には困ったわねぇ」 雨粒がアスファルトを叩く。 これでもかとひたすらに叩く。 「こんなに降るなんて、何か嫌なことでもあったのかしら」 辛い、苦しい。 雲だって泣きたいときがある。 そう考えれば、急な雨を許せるだろうか。 「それ、冷凍庫で預かりましょうか。雨が止むまで」 「ありがとうございます。助かります」 雨宿りのお供は喫茶店の特製プリン。 帰宅したらコンビニのアイスクリーム。 食べ過ぎかな。 いつも通りかな。 西の空が橙に染まる。 もうすぐ雨が上がる。
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