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星屑入りビール
疲れたときはビールに魔法をかける。
午後9時、ワンルームは今日も生温い闇に包まれている。
パンツスーツからスウェットに着替えたら自由時間。
両手に缶ビールとグラス、ポケットにマッチ箱。
蚊取り線香に火を点ければ準備は完了だ。
ベランダから星屑を招こう。
グラスに大きめの氷を1つ入れて、ビールを注ぐ。
氷と泡の軽やかな旋律。
爽やかな音色は夜空を渡り、星々にじんわり届く。
涼を求める星屑が一筋、弧を描きグラスに飛び込む。
なんて、夢物語を語りたくなる夜だから。
ビールの味が甘く感じるのだと思う。
「お疲れ様、私」
明日も頑張ろう。
ほどほどに。
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