星屑入りビール

1/1
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

星屑入りビール

疲れたときはビールに魔法をかける。 午後9時、ワンルームは今日も生温い闇に包まれている。 パンツスーツからスウェットに着替えたら自由時間。 両手に缶ビールとグラス、ポケットにマッチ箱。 蚊取り線香に火を点ければ準備は完了だ。 ベランダから星屑を招こう。 グラスに大きめの氷を1つ入れて、ビールを注ぐ。 氷と泡の軽やかな旋律。 爽やかな音色は夜空を渡り、星々にじんわり届く。 涼を求める星屑が一筋、弧を描きグラスに飛び込む。 なんて、夢物語を語りたくなる夜だから。 ビールの味が甘く感じるのだと思う。 「お疲れ様、私」 明日も頑張ろう。 ほどほどに。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!