白雪片栗粉の唐揚げ

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白雪片栗粉の唐揚げ

片栗粉の触感が好き。 バットに片栗粉を出して、人差し指で押さえる。 ぎゅっ。 初雪に足跡を残したときの感触によく似ている。 まっさらな白を踏む罪悪感。 未踏の新雪に一番乗りをした優越感。 冬の記憶に触れ合いたくて、つい買い過ぎてしまう。 「……賞味期限」 おばあちゃんが言ってた。 食べ物は粗末にしてはいけないって。 よし。 今夜は手羽中の唐揚げにしよう。 揚げたての手羽中は、ふんわりこげ茶。 雪が溶けて乾いた地面の色。 待ち遠しい春の色。 「……美味しそう」 前言撤回。 揚げたての手羽中は、カリカリのほくほく。 一番合うのは黄金色。 冷やして美味しい発泡酒。
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