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尚也がコホンと咳をする。
「確認だけどーーー夏葉、独身?」
「ーーうん」
「俺も」
「え?離婚したの?」
「待って、俺結婚したことないけど」
「じゃあ、あのお見合いの相手はどうしたの?結婚するつもりだったんでしょ」
「えっ?夏葉、あれ知ってたんだ・・・」
尚也は驚いた顔をした。
私も混乱していた。尚也は独身で結婚してない、私のことを探していたって・・・。
「どういうこと?」
「いや、夏葉。俺も聞きたい。夏葉、俺が結婚したって思ってた?」
「う、うん。あの頃の話の流れからてっきり・・・違うの?」
私は訳が分からない。全身に嫌な汗が出てきたみたいで身体が冷えてドキドキする。
そんな私の両頬を尚也は両手で挟み込んだ。
「俺、結婚なんてしてないし、昔も今も結婚したい相手は夏葉だけ」
私は大きく目を見開いた。
「う、嘘。だってお見合いしてその人と籍を入れてアメリカで式を挙げるって言ってたじゃない」
「何言ってんだよ、夏葉以外と籍なんて入れない。どうしてそんな話になるんだ」
「だって、お見合いしたんでしょ!」
「・・・確かに見合いの話があって、断るために相手と相手のご両親には会ったよ。でも、見合い前に断ったから夏葉には黙ってた」
「でも、お相手の方がアパートの尚也の部屋に入っていったとこも見たし」
「ああ、押しかけて来られたことがあったな。見合い前に断ったのが納得できないとかって言って。玄関先で叫ぶからとりあえずドアの中には入れたけど、靴は脱がせてないぞ。ドアの内側だけだから。相手の親に連絡して連れて帰ってもらったんだ。俺としてはこのまま夏葉と鉢合わせでもしてくれたらいいのにって思ってたよ」
「どうしてよ」
「俺が虜になってるきれいな夏葉を見たら相手も素直に諦めてくれるはずだから」
は?
思わず無言になった。
このオトコはこうやっていつも私のペースを乱してはぐらかす。
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