いつからせん階段で

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デザートは全て真緒ちゃんのものだ。 3種類どれも美味しかったから全部高評価を付けて、試食会は終了。 結果が書かれた用紙を可南子さんに渡した。 「どれもこれも美味しかったです」 語尾にハートマークを3個も4個も付けたくなる。 この中からコストや手間を考えて最終的に大貴さんが選ぶことになる。 今日はこのまま営業はしないということで、このまま試食会のための料理を好きなだけ食べていいと大貴さんからありがたいお許しが出た。 「やったー、いただきます」 今度はサービスで生ビールが出されて、これから本格的に食事を楽しめる。 そこに森本君がやって来てカウンターの向こうからワクワクキラキラとした目で話しかけてくる。 もう、ちょっと、ねぇ、すごくかわいいんですけど。 「夏葉さん、あれどうでした?」 「もちろん、最高に美味しかったよ」 私に褒められて森本君はぱあっと輝くほどの笑顔になった。 自分の作った料理が褒められてうれしくないはずがない。 「試食の時は少ししか食べてないから、今から集中して食べる」 私はナイフとフォークを手に取った。 森本君と話をしながらコンフィを口に運んでいると、私の隣の席に誰かが座った。 チラリと見ると、4人掛けのテーブル席で男性3人で試食をしていたうちのひとり。 私と同じくらいの年齢かもう少し上か。 ちょっとお金を持っていそうな雰囲気が染み出ている。 カオは・・・普通?上の下?悪くないけど私の苦手なタイプだ。 こうやって自信満々で声をかけてくるようなひとは。 「ね、キミひとりなの?よかったら、あっちのテーブルで一緒に食べない?始まる前から気になっていたんだよね。すごく綺麗な女性がいるって」 すごく綺麗な女性だなんて褒めてもらったのは嬉しいけれど、遠慮したい。それに今は森本君と話してるの目にはいらないのかな。 私が「結構です」と断ろうと口を開きかけ、森本君も何か言いかけたところに 「夏葉お待たせ」 あのオトコの声が被った。 間髪入れず「夏葉、ソースが付いてるよ」と私の顎をくいっと持ち上げて唇のすぐ脇をペロッとなめて笑った。 「もしかして、わざとなの?俺に取って欲しかったとか」 はああああああ? そんなはずないでしょ!!! 絶対、そんなとこにソースは付いていなかったはずだ! 私はふるふる震えながら無言で尚也を睨んで、 森本君は目を見開き、 隣に座った男は黙って席を立って行った・・・。 「はい、撃退終了」尚也は満足げだ。 離れたところから可南子さんと大貴さんが笑っているのが目に入った。
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