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私はつくづく思う。
人間として最低だと。
人の悪いところを見て勝ち誇った気分になり、
自分が下だと感じると惨めで憎たらしく思う。
本当に尊敬されて、慕われる人は誠実な人格者でなんでもできる。
世界とは残酷だ。
できる人とできない人を作って、壁を作っている。
平等だとか言うけれど、そんなの一種の戯言で、本当は平等なんかじゃない。
生まれた時から自分の立場が決まっていて、そこから自らの居場所を探していく。
自由とは何か。
そんなのこの世界に人間という高等生物が生まれた時点で崩壊していることなのに。
身分、差別、所得の相違、制度の崩壊、国家の不安定さ。
全てが生きる人々の害となる。
でも、それがどうしたんだろう。
私というちっぽけな存在が、そんなでしゃばったことを言ったところで何になるのだろう。
世界の何になりたいのだろう。宇宙の何になりたいのだろう。
どうせ、そこら辺の埃みたいにいつか消えてなくなっちゃう運命なのに。
『もしもし。こかげちゃん。』
「あっ、すみません……」
『大丈夫だよ』
にっこりと微笑んだのだろう。
電話越しに伝わってくる。
「考え事をしていて、あの、穂波さんは自分についてどう思いますか?」
『自分について?』
「はい」
『そうだね。なんで生きてるんだろうって思うかな。』
「ですよね」
『でもね、自分が生きてると周りの誰かも幸せだと感じてくれる人がいるの。いなくても、誰かの今日に自分が1ピースでも入ってるって思うと、生きていても意味がある気がする。それでもダメかな?』
「ポジティブですね……」
『そう考えてないと自分の醜さに吐き気がして死にたくなってしまうから』
「穂波さん?」
『急にごめんね。偉そうに話しちゃって。』
「いえ、そんなことないですよ」
『今日はここら辺にしよっか。おやすみ。』
「おやすみなさい」
通話を切って、ベッドにダイブする。
もう、姉がいなくなってから一ヶ月が経った。
その間、女性、穂波さんと仲良くなった。
桧山さんは相変わらずお店に来てくれる。
いろいろ大学のことやバンドのことを話してくれる。
須藤くんは最近図書委員会で企画したポップ作りを頑張ってる。
絵も上手で感心した。
なんでそんなに器用なんだろう。
「私には何もない」
私に何か特別なことができたら、もっと明るくて社交的になれるだろうか?
瞼が閉じていく。
今日もしっかり睡眠を取らないと。
その日の夢は桧山さんも穂波さんも須藤くんもいない。
私一人でもがき続けている。
雨が降っても、寒くても、たとえ死にそうでも、
私は一人で苦しい苦しい水の中をもがき続けている。
そこに一言、言葉の暴力が入れば私は沈んでいった。
一言。
思い出したくない。
思い出してはいけない。
思い出せば壊れてしまう。
ダメだダメだダメだダメだ。
アレだけはダメなんだ。
記憶の奥底に閉じ込めたアレだけは。
でも、弾けて自分を壊していく。
『こかげって何もないよね。私の妹なのに。』
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