ちゃらんぽらんの色

10/10
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 ツルスケと別れて帰宅する電車に揺られながら、私は考え込んだ。  昔、思いもしない形で私はツルスケを救っていたらしい。とってもちゃらんぽらんな私だけど、だからこそ、他の生徒が無視するツルスケに何のためらいもなく声を掛けることができたのだと思う。  今まで周囲の人にたくさん迷惑をかけて来たと思うけど、きっとその十分の一くらいは私も役にも立っていたのかもしれない。  ちゃらんぽらんの色はきっと白でも黒でもなく明るいグレーだ。天真爛漫で欲望に正直な幼い子供の砂まみれの手みたいな色。そんなちょっと汚れているけどあったかい色。 「……ところで、ツルスケの『これからまたよろしくね』ってどういう意味? 相変わらずはっきりしない奴だなぁ。今度ご飯おごらせて問い詰めてやろうっと」  私はそう呟くと車窓の向こうを流れるネオン街を眺めながら、フッと思わず笑みをこぼした。    ――よし! 今夜は雀荘行くぞ!
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!