8人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
魔獣に監視され、民が働くようになり、国は栄えるようになった。それに比例して、魔王の元には、民から徴収した税が入るようになった。
「はははは。これでこそ王の支配だ。王が恐怖を与え、民衆はそれに従う。これが正しい政治の形だと思わんか。魔大臣」
魔大臣は、深く深くお辞儀をする。
「はい。その通りでございます。ただ、一つ、気になる情報を耳にしました」
「気になる情報だと」
「はい。民の中で、魔王様に逆らおうとする若者がいます」
「何だと? それは何者だ」
魔王のこめかみがピクピクと動いた。
「はい。町外れの少年です。魔獣に監視されることに憤り、魔王様に恨みをもっているとのことです。これは王のやることではない、と」
「ふん。正義面したガキか」
魔王は玉座から立ち上がる。
「おい、魔大臣よ。明日の朝、俺は町中でパレードをする」
「パレード、ですか」
「そうだ。今すぐ国民に知らせよ。そして、全員に俺のパレードを見に来させるんだ」
「はい、かしこまりました」
魔大臣の手により、パレードの準備は、つつがなく行われていった。
最初のコメントを投稿しよう!