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数日後、目的地に到着した僕は目を見張った。
「擬似太陽施設」
そこは強すぎる太陽の代わりに昔の優しい太陽を摸した擬似太陽を置いた施設だった。こんな大規模な施設を借りてこられるのは、受眠者の中でもきっと限られている人材だろう。
「凄い、ニュースでしか見たことないのに、どうやって」
「私が作った施設だから。それで布団とやらを2組用意してもらったわ。あなたの話通り2時間前から干してもらっているの」
(私が作った施設って.......こんな巨大な装置を⁉︎)
フカフカの白い布団は僕が以前要望を伝えた通りに用意してあった。物干し台から下ろして布団を敷いてもらう。勿論、布団の下は上物の畳を用意してある。畳に使われているい草がベッドでいうところのマットレスの代わりになって反発を防ぐのだ。
今日のミオの格好は睡眠科学に基づいたロング丈のネグリジェだ。前回はベルトを多用した服だったため、身体がリラックスできていない可能性があった。だから、今回は僕が服装をリクエストした。
「ねぇ、どう思う?」
「締め付けが少ないし、生地もいいと思う。これならゆったり寝れるはず」
僕は実際にミオのネグリジェに触って確かめたから間違いない。シルク製なのは流石は上流階級だ。身体が冷えないように布面積は広いものをチョイスしてもらった。
「そういうことじゃないわ」
ミオは少し不機嫌そうにして、僕をひっぱり布団にダイブさせた。フワリと自然の香りが漂う。
「これがお日様の匂いって奴ね!」
「僕も......初めて。灼熱化になってから布団を干す文化なんてなくなったって聞いたから」
自分で言い出したことながら、僕は実際に出来るとは思っていなかった。滅菌レーザーではない布団の香りに対して身体が心地いいと感じていることにも正直動揺している。
「ふわふわする......」
そう。擬似太陽施設の心地よい太陽の日差しもあって、僕はミオにレクチャーするどころかスヤスヤと眠りについてしまったのである。
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