あなたの代わりにおやすみを

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* 「ん......?」  足の上に謎の重みを感じて僕は目が覚めた。レースのピンクのネグリジェ姿のミオの手だ。少しだけ上下する胸は僕がよく見たことのある光景らしい。 「眠ってる」  13年ぶりに眠ったからだろうか。確か倒れ込んだ時とは頭と足の位置が逆になっている。 「ミオ......」  ミオの長い髪の毛が鼻に掛かっている。僕が上体を上げてミオに触ろうとしたところ、やんわりと黒服に止められた。  暫くしてミオの目がゆっくりと開いていく。 「気持ち良い。これが睡眠......」  聞いたところによると時間にして30分程度だったらしいが、ミオは眠っていた。 「私、夢を見なかったの。でも、温かいふかふかに包まれていて幸せだった」 「眠ることは必ずしも気持ちが良いことじゃないだけどね」  僕達は生活に追われて仕方なく眠らなければならない。けど、ミオは違う。完全に贅沢として味わう睡眠はきっとなによりも気持ちいいのだと思う。  生きるために必要のないことは美しい。 「そうじゃないわ。そうじゃ、ないのよ。太陽の光、あたたかいのね。でも、この本物は私が撃ち落とさなければならない。もしかしたらこの方法ならーー」  ミオは何やらブツブツと思索に耽っている。下級国民でしかない僕には理解出来ないけれど、きっと何かミオにとって良いことがあったのだろう。
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