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あれからどのぐらいの時間が経っただろう。
眠りと半覚醒を繰り返した身体はうまく動かない。
僕はミオにもう二度と会わない旨の手紙を残してしまった。ミオは僕を探しには来ない。
会社はミオが僕を捕まえたままにしていると思っているかもしれない。何にせよ、僕が助けられることはない。
(良いんだ。ミオと僕じゃ立場が違う)
せめて足枷にならないように。人質などにされる前にこの命を断つべきだろう。代眠者はこういう時のために自死の方法をいくつも学んでいるのだから。
右の犬歯の中をくり抜いて、錠剤を入れている。せめて穏やかに眠れるようにと会社から支給された薬はいざというときのお守りだった。
「また会いたいかったなーーミオ」
ミオは僕にとって強引な太陽みたいな人だった。眩しくて、そう、こんな風に強い光だーー。
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