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エピローグ
3年後の未来で、僕はいつミオに切り出すべきか迷っていることがある。例の事件から、僕達の最高の睡眠を追求する会は常設になった。一週間に何度かこうして顔を合わせる仲になっている。
今ではニュースや学会に出ない日はないミオが、僕のために時間を作っているのはむず痒い気分である。だからと言って、この関係にはまだ代眠者と受眠者以外の名前は存在しない。
日に日に薄手になっていくミオのネグリジェはきっと見てはいけないものの一つだし、身体つきだって随分変わったように見える。
件の事件から2人のときはミオの監視役の黒服がつくことはなくなった。
「ミオ、あのさ......言いにくいことなんだけどさ」
「どうしたの?」
いつも思い切りの良い年上のミオと比べて僕は未だに安牌を取る癖は抜けない。
「そろそろ僕たち一緒に眠るって良くないんじゃないかな。お互いにその、大人になってきたし」
大きなサイズのベッドとはいえ、21歳の女性と手を繋いで眠るのことに17歳の僕は大きな抵抗がある。3年前から伸びてきた身長はミオの背丈と並ぶし、声は変わってきた。世間的にだってなんだか、こう、駄目な気がする。
そんな僕にミオは爆弾を落としてくる。
「あら、私は眠れなくても良いけど?」
思考が停止する。
顔から火を出しそうな僕を見て、ミオは冗談だと言いながら枕を何度も叩いた。
「!......ミオ〜〜〜!!」
この僕の相棒は、いつまでも僕を振り回して止まらない。
おわり
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