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僕の言葉に再度彼女は首を振る。
「私を買ってくれている人たち。あの人たちは悪い人じゃないんです。良い人でもないですけど。それでも私は見捨てることはできない。彼らは金ヅルとして暴力団に目をつけられている。私がいるうちは私が回収する分だけで満足しているでしょう。
でも、私が逃げ出せばきっと彼らの財産はあの男たちに食いつぶされる。私がこれからも稼ぐはずだったお金を回収するために。そして、私が見つかるまでずっと彼らを追い込み続ける。
彼らの生活も壊されるでしょう。私が生きている限り。それを見捨てられるほど私は薄情ではないのです。
「それでも、死ぬなんて駄目だ! 他に方法があるはず……」
「他というのは……?」
「死ぬ気になれば何でもできるよ!」
「それは死にたいと思った事の無い人の言葉ですね。死ぬ気になるのと死にたいと思うのは似ているようで全然違うんですよ」
「それでも生き続けることに意味があるんじゃないかな? 生きていれば生きる意味だっていつか見つけられるかもしれない」
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