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◆
また。目が覚める。悪い夢を見ていたようだ。
彼女が目の前に立っている。
「それで、私が自殺をやめる理由はあるんですか?」
彼女が聞いてくる。
「何かあったの?」
僕は彼女に尋ねる。
「もう、生きるのが嫌になったんです。疲れ果てたんです。生きていくのに」
「何か嫌なことでもあったの?」
「嫌なことしかないですね。生きていれば良い事もあるなんてよく言いますけど」
「良い事よりも悪い事の方が圧倒的に多いんです」
「もう、死んで消えてなくなってしまいたい……」
「生きたいのに生きれない人だっているんだよ?」
僕の言葉に彼女は口元を歪める。
「……死にたいのに死ねない人だっているんですよ」
「私は自分で簡単に死ぬことだってできない。私はいつだって監視されているから。今がチャンスなんです」
「監視……?」
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