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どっと体の力が抜け、彼はその岩に手をついた。岩の冷たさと、ざらりとした手触りがある。体の感覚は遠いが、触感を得られるだけ、まだ生きているのだと実感できた。
「そろそろ戻りませんか?」
ライネは静かに立ち上がると、彼へ手を差し伸べた。
「ここで眠るのは危険ですから」
彼はその言葉に、改めて周囲を見回す。辺りには硬い岩や石の数々。何の抵抗もなく倒れるには危ない場所だ。
まだ聞きたいことはある。だが、今尋ねても眠りに落ちるだけだ。漠然とそう感じ、彼は何も聞かなかった。
こうして今日も、一日が終わる。
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