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骨董品店のおじいちゃんは「出張査定のついでだから」と言って、わざわざウチのアパートまで納品しに来てくれた。
車の運転は、金井骨董品店を継ぐ予定の息子さんがしてくれているそうだ。
拓哉と娘と3人で、おじいちゃんがほどく風呂敷包みをワクワクしながら見つめる。
風呂敷の中にはガラスケースに入った、私の天使の人形があった。
10年前と変わらぬ、美しく艶やかな肌。
マダムとそのお孫さんの心を癒すという一仕事を終えて戻ってきた、私の天使。
「お帰り。また会えたね」
私の声に天使の人形は「ただいま」と、優しく微笑んでくれた気がした。
(了)
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