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骨董品店のおじいちゃんは「自分に責任があるから」と言って、事の顛末を見届けてくれるらしい。
おじいちゃんはそのまま、私を車で新しい持ち主の家まで連れて行ってくれた。
古いが立派な門構え。
西洋風のきちんと整備された庭。
大きくは無いが、物語に出てきそうな煉瓦造りの家。
ここは……日本なのでしょうか。
だけどあの天使の人形には、ウチのボロアパートよりもこちらのお家のほうが似合っていると思い、キュッと胸が苦しくなった。
「こちらのマダムは足が悪くてね…」
おじいさんが玄関の呼び鈴を鳴らすと、キレイな若い女性が扉を開けた。
「あぁ、金井さん。……そちらの方が?」と若い女性は私を見た。
あっ…。
今、自分の格好に気がついた。
風にあおられてボサボサの髪。
仕事から帰ったばかりのヨレヨレのTシャツにスラックス。
履きつぶされた運動シューズ。
極めつけは、目元と額にしか塗っていない、汗で崩れたファンデーション。
だけどその女性は私の格好に眉をひそめることなく「こちらにどうぞ」と家の中へ案内してくれた。
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