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え?
なんでそんな見てるの?
「やっぱり。小牧、だよな?」
「……え?」
やっぱり、って?
そもそもこの学校には同じ中学出身の子はいなくて。
彼の顔を見ても、記憶に結びつく人はいない。
「あの……」
「これ、見た?」
彼がピラッと取り出して見せたのは、クラス名簿。
知り合いがいない事はわかっていたから、ちゃんとは見ていなかった。
彼が指さす名簿には『小牧麻里』と、私の名前がある。そして、その上には……
「笠原、敦也」
名前を口に出したら、彼がニコッと笑った。
「親父の転勤で戻ってきたんだ。でもまさか、ここで小牧に会えるとは思わなかったよ」
そう話す声は、記憶よりずっと低くて。
身体つきもがっしりしていて。
記憶の彼とは全然結びつかない。
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