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「連絡途絶えて2ヶ月弱くらいかな、久々に連絡が来たのと一緒に新しい歌ってみた動画が届いた。久々の連絡だったから挨拶がわりに近況を聞いたんだ。そうしたら、血の繋がらない義理の兄とケンカをしたらしかったんだ。ケンカの理由までは聞かなかった。でも、女子高生には1人の女の親友がいて、その親友が慰めてくれて、歌えるようになったらしい」
「は?それが今の現状と何が関係あるんだよ」
「ここから堰を切ったように女子高生は自分の話をしだしたんだ。母親の再婚相手に中学まで虐待を受けていたこと。虐待が発覚し離婚したが、再婚相手の兄とは仲が良く、その後も連絡をとっていたこと。家庭の話をしたのは俺が2人目で、1人目が喧嘩をした親友だったこと」
気になる点はあったが、俺は言葉を遮らず、話が終わるまで待つことにした。
「その女子高生は言ってたんだよね。気持ちよく自分の声が音に乗るのは、細い糸を伝ってるような状態だって。グラグラしながらゆっくりゆっくり糸の上を歩けているギリギリの状態がベストなんだって」
「どう言うこと?」
「幸せすぎず、不幸すぎず。心のどこかに後ろめたさがある状態……らしい」
「わっけわかんねぇ」
俺はため息を吐いた。
少し不安定な状態が自分の感情を揺さぶり、歌にも気持ちが乗りやすいってことか?凡人の俺には理解ができない。
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