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 ケートと呼ばれた男、本名・鷲津恵斗は俺の大学の同じ学科の友人で、ルルは今年大学に入学したばかりの2つ下の後輩。恵斗が所属する音楽サークルにひょろっと現れ、いきなりボーカルをやりたいと言い出したらしい。  音楽サークルは軽音活動が中心で、各楽器のバンド演奏者が十数人人ずつ所属する。もちろんボーカルを希望したからと言って誰でも希望通りになれるはずはない。  そんな中、ルルはこの鼻にかけた話し方と男に媚びるような調子でサークルの新入生歓迎会でいきなり「ボーカルやりたいでーす」と言ったらしい。  既存の先輩、特に女性からの反発が大きく、とてもサークルでは馴染めなそうと感じた恵斗は、ルルに個別で声をかけた。  恵斗は新歓の2次会をドタキャンし、ルルを連れてカラオケボックスへ行く途中俺に連絡をよこした。 「かわいい1年生と飲むから今から来て」 もともと新歓があったことを知っていた俺は、選りすぐりの数人との合コンに呼ばれたのだと思い意気揚々と言われたカラオケボックスまで足を運んだ。
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