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 作業は恵斗のマンションの2つ左隣にある空き部屋を借りて始めた。  多分、本格的にルルを異性として意識をしだしたのは5月中旬。6月に驚異的にバズった曲「ルルル」の制作をしている時だったと思う。  この曲はメロディーは完成していたものの、重要なサビの一部だけ歌詞が充てられずにいた。どんな文や言葉を入れてもなんとなくしっくりこない。  3人でメロディーを口ずさんでいるとき、ルルが思いがけないことを言った。 「ルルルルーは?ルルの名前をいうの。ルルルルールルールルルー、どう?」  俺と恵斗は目を合わせた。 「悪くはない」 「むしろ良いかも。ちょっと歌ってみて」  ルルはサビの一部空いていた歌詞にルルルだけでメロディーをなぞった。 「どう思う?」 「悪くない。たださ、恵斗」 「何?」 「一瞬、トットちゃんが頭にうかんじゃったけど」 「・・・・・・メロディー違うし、大丈夫じゃないか」 「トットちゃんて何ー?」  ルルが俺の腕に頭を預けて両手で俺の左手を優しく握りながら聞いてきた。 「た、玉ねぎみたいな可愛い結構年齢は上の、なんだっけ名前」 「あー。黒なんとか子さーん?」 「黒柳徹子な」 「それ」 「それより、もう一つ気になることがある」  恵斗が言う。 「何?」 「ドリカムのLOVE LOVE LOVEのサビも、吉田さんがルールルー ルルってあてたのが歌詞のきっかけって話、何かで聞いた」 「・・・・・・君らアマだし、学生だし、余裕だろ」 「明らかにメロディーに関してはパクリではないしな」 「そーだそーだー」  ルルが勢いよく手を挙げたおかげで、俺の硬直した左手は解放された。  見た目の可愛さ、儚さに加え、ルルのボディタッチの多さは、俺のルルへの気持ちをさらに加速せた。
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