たまご研究会

　それにしても『たまご研究会』とは何を研究するのだろう？

　たまごアレルギーについて？

　たまごの栄養価について？

　それとも様々な動物の卵について？

　初めはスルーしようと思っていた。
　が、二度目にその場を通りかかった時、もう一度その場に立ち止まってポスターを見てしまったのが運命の分かれ目だった。

「お待ちしております。どうぞ試験会場へいらして下さい。今夜の受験者は恐らく君一人です。何でしたら宿泊の準備をしていらっしゃい。明日、そこから真っ直ぐ授業に出たらいいのです。僕は動物生態学研究室の助手、半田と申します」

　丸坊主で髭ずらの男は、お笑いタレントか何かのような明るい口調でポンポンと調子よく、そんなことを言った。

「宿泊の準備？」

「資格試験は時間がかかるのです」

「筆記試験ですか？」

「実技試験です」

「実技試験？どんな？」

「ちょっとした体力テストみたいなものです。大丈夫。君なら合格間違いなしです」

　そう言って俺の肩を叩くと半田という男は早歩きで姿を消した。

　何だか薄気味悪い。

　そんなところへ行くもんか。