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その卵の正体は!?
朝起きたら、枕元に小さな卵が落ちていた。
「何の卵だろう?」
そう呟きながら、捨てることはせずに部屋にあった空き箱にガーゼや布を敷き詰めて真ん中にそっと乗せると、テーブルに腕を乗せてその上に顎を預けながらじっと見つめる。
昨日まではなかったはずのものが、どうして目の前に現れたのだろう?
――昨日の夜は……?――
記憶をたどり、ふと思い出したのは、昨日寝る前に自分好みの男が抱かれている動画を観ていたことを思い出す。
――まさか……な。――
高校生にもなれば、自分の性癖くらいは理解できる。自分が人と違うということには、もうすでに気づいていて、男に反応することもわかっていた。
そして、我慢できなくなって一人部屋の布団の中で自身に触れると、その動画の男を想像しながら抜いた。
その時に、誤って掌で収まりきらなかった精子が枕元に垂れたけれど、それを拭いきる余裕なんてなく、手の中に溢れ出た白濁をティッシュで拭き取るだけで精一杯だった。
そのまま力尽きて眠ってしまったのは、言うまでもない。
その垂れたままだったものが卵になったなんてこと、あり得るわけがない。そう思うのに、それ以外で考えられる原因がないのも事実なわけで――。
とりあえず、このまましばらく様子を見ようというところに落ち着き、母親に捨てられることがないように、自分のいない間は机の引き出しの中に避難させておくことにした。
一週間ほどで卵にヒビが入り出し、その二日後には完全に殻が二つに割れそうになっている。
じっと目を凝らしながら見つめていると、小さな手が飛び出してきた。
「うわっ!」
思わず大きな声が漏れてしまうけれど、目を逸らすことは出来なくて、今起ころうとしている事を見守る。
すると、飛び出していた手が勢いよく殻を割り始め、中から親指サイズほどの小人が現れた。
完全に卵から孵ったそいつは、大きく欠伸をしながら伸びをして、ぱっと上を見上げた。
――間違いなく、目が合っている。よな?――
そう確信したと同時に、その小さな小さな親指サイズのそいつは、俺に向かってにかっと笑った。
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