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また少し歩いた先で井口さんが立ち止まった。
「ここ寄ってくか」
店のガラス窓にはまんじゅうや煎餅と書かれた紙が貼られている。和菓子屋さんのようだ。
店に入るとたくさんのお菓子が所狭しと並べられていた。まんじゅうや煎餅の他にアイスもあるし、数は少ないけどショーケースにはケーキもある。和菓子だけじゃないのか。
「お前甘いもの好きか?」
「そうですね、割と。自分じゃそんなには買わないですけど」
「じゃあ代わりに土産選んでくれないか? 俺は甘いもんは食わないから何がいいかわからなくてな」
「お土産ですか? 俺もそういうの得意じゃないですけど……」
誰に渡すんだろう。誰に渡すのかでどんなものを選べばいいかも変わってくるし、訊いてもおかしくないよな?
「渡す相手の人数とか好みでも変わってくるとは思うんですけど……どんな人に渡すんですか?」
「仕事で世話になってる人達だな。年齢も性別も好みもバラバラだ」
「……難しいですね」
……チャンスかと思ったけど何もわからなかった。そうなったらある程度万人受けしそうで、日持ちするものを選べばいいのかな。
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