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ep2
あのメールを送ってから1週間が経とうとしていたが音沙汰はない。返信や連絡がないことを安心する反面、不安もある。
二度と会わなくていいならそれに越したことはない。だけどあの交換条件を何も果たせていないのだから、このまま終わるはずはないだろう。それともあの脅し自体がハッタリで、もうすでに悪用された後だったりするのだろうか。どちらに転んでも地獄のような状況であることに間違いはない。
それから数日後、仕事を終えスマホを確認すると1通のメールが届いていた。表示された名前が目に入るだけで虫唾が走る。
無視するわけにもいかないが、何が書かれているのかわからないこのメールを衆人環視の中で開くのもためらわれる。このイライラを誰かに悟られることのないよう必死に抑え込みながら会社を後にした。
家に帰る途中に寄ったコンビニで冷蔵ケースのビールやチューハイなんかを適当にカゴに突っ込んでいく。
あの日のことは俺の酒癖の悪さも原因の1つであると思い、あれ以来一滴も飲んでいなかった。だけど今日は飲まなきゃやってられそうにない。それに家の中ならあれを超えるような事態など、そうそう起こりはしないだろう。
部屋に入ってすぐビールを1缶開けて一気に飲み干した。
そして大きく溜め息をついてからメールを開く。
目に入ったのはたった1行だけの短い文章。
『土曜 21時 初めて逢ったバーで』
最後までは書かれていないが「来い」ということで間違いないだろう。俺の都合などお構いなしということか。どうせ週末を一緒に過ごす相手なんていないと思ってるんだろうし、もし俺が断ったとしても次の手を使えばいいだけだもんな。
今俺を襲う目眩や吐き気は多分アルコールのせいじゃない。
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