ep16

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「それなら全部頼めばいいだろ。食いきれなかったら俺が食うから」 「そんなっ、ダメですよ! ちゃんと井口さんが食べたいもの頼んでください!」  あぁ、まただ。井口さんが俺を気遣ってくれたりするのは何も特別なことなんかじゃない。わかってるはずなのに期待してしまうのは、もう自分では止められそうにもない。  とにかく早く決めなくちゃ。井口さんも、少し離れた場所からこちらの様子を窺っているスタッフさんも、これ以上待たせないように。  とりあえずおかずを2つ3つと、ご飯があればいいかな。せっかくだし普段なかなか食べられないようなものがいいな。そうなるとブランド牛は外せない。ご飯は……釜飯があるんだ。ステーキと合うのかはわからないけど、この際だし気にしなくていいよな。  ご飯の横にもおすすめのお酒が書かれている。釜飯のおすすめは……白ワイン? 確かに俺はお酒は詳しくないけど、ご飯にワインを合わせるなんて聞いたことない。 「決まったか?」 「釜飯が気になってるんですけどおすすめのお酒が白ワインってなってて、本当に合うのかなって……」 「聞いたことねえ組み合わせだが興味はあるな。せっかくだし試してみるか。お前はどうする?」 「じゃあせっかくなので俺も」
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