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風呂から上がった後はとりあえず着替えて出かけられる準備だけしておく。
今日は何をするのかもまだ聞いてないけど、さすがにずっと部屋から出ないってことはないだろうし。今日は着替えとかは持ち歩く必要ないから、少し鞄の中を整理しよう。
鞄を開いてすぐ昨日もらったお菓子の袋が目に入った。昨日はそれどころじゃなかったからそのままになっちゃってたけど、せっかくだから開けてみようかな。
袋の中には数種類のお菓子が入っていた。マドレーヌ、チーズタルト、煎餅にまんじゅう。しかもまんじゅうはこしあんだ。──これ、昨日俺が美味しそうとか好きって言ったやつばっかりじゃ──。いやいやいや、あの時だって何がいいかわからないって言ってたし、俺が選んだものをそのままお土産にしたんだから、多めに買って俺の分ってことにしただけだろう。……でも昨日井口さんの目の前で開けてたら危なかったな。
深呼吸をしながら財布やスマホなんかの今日使うものだけを手持ちの鞄に移して、準備を終えた。
それから少し経った頃、部屋のドアが開いて井口さんが顔を覗かせた。
「待たせたな。すぐ出られるか?」
「はい、大丈夫です」
ついさっき用意したばかりの鞄を掴んで井口さんの待つ出入り口へ急ぐ。
廊下を歩きながら今日の予定について。
「今日は何するんですか?」
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