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「それにそんなベタベタの身体じゃ帰れないだろ。シャワー浴びてからにすれば?」
ベッドから降りようとする俺の背後から伸びた腕が腹に触れる。そこに残るのはまるで昨夜の一部始終を物語るかのような、生々しい情事の跡。
「触らないでください!」
慌ててベッドを離れ、床に散らばる服をかき集めた後風呂へと急いだ。
すべてを洗い流したくて強めにシャワーを当てる。だけど表面についた汚れは落とせても、身体の中に残る違和感や異物感はどうしても消えてはくれなかった。
何度も夢であってくれと思いながら部屋に戻ったが、残念ながら願いが届くことはなかった。俺の帰りを待ってたのはやっぱりあの男だ。
「よし、俺もシャワー浴びてくるわ。すぐ戻るからちょっと待ってろ」
すれ違いざまに俺の頭を軽くポン、と叩いてから男は風呂へと向かった。あからさまに俺が拒絶してるのに、いったいどんなメンタルしてんだよ。
そうだ、あいつが風呂に行ってる今がチャンスだ。今のうちにさっきの動画は消してしまおう。
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