661人が本棚に入れています
本棚に追加
「……帰る前に少しだけいいですか?」
「ん? もう1回戦いっとくか?」
「違う! 昨日のこと……何があってこんな……」
「そうだなぁ……」
昨日のことを思い返しているのか、目線を上げながらベッドにどかっと座り込む。それから俺の方を向き直した後、ここに座れとでも言うみたいに、自分の横を指先で2回トントンと叩いた。
それに促されとりあえず俺もベッドの端に腰掛けた。
「そんなに離れて座らなくても別に襲いかかったりしねえよ」
こんな状況で信用できるか。それに今同じ部屋で同じ空気を吸ってること自体不快なんだ。隣になんて座りたくない。
「昨日そのタツヤって奴と会ったのは覚えてるか?」
「覚えてます。本当は終電ギリギリまで遊ぶ予定だったのに彼女に呼び出されて、結局先帰っちゃったんですよね。でも俺真っ直ぐ帰る気にもなれなくて……」
「多分その後だな。俺が飲んでたバーにお前が入ってきたんだよ。無茶苦茶な飲み方してるから気になって声掛けたんだ」
その辺りのことはなんとなくだけど覚えてる。ただ酔える酒が飲みたくて、確か駅に向かう途中で目に入った店に適当に入ったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!