赤いかんざし

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山道を歩いていると、左の茂みからなにやら物音が聞こえてきた。 俺は身構える。 バサッ! 飛び出してきたのは、イタチだった。 イタチは俺の方を見向きもせずに道を横切ると、右の茂みの中へと消えていった。 「イタチの道切り……か」 同じ道を二度と通らないと言い伝えられているイタチ。 イタチの道切りは、音信不通となる凶兆として忌み嫌われている。 もう、サトには会えないのか? いや、そんなものは迷信だ。 「京に行くには、この道しかない……」 俺は歩みを続けた。
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